今回は安田佳澄先生のフールナイトの見どころ・感想をお話しします。
一言でいうと感情移入をしてはいけない作品ですね。それくらい貧困と格差、人物たちの心理描写が生々しく描かれています。
SFなんだけどどこか他人事のように感じさせない、別の意味での怖さを感じる作品です。
ディストピア系の作品が好きな方には特にオススメしたいマンガです。
あらすじ
ぶ厚い雲が日の光を遮り冬と夜ばかりが続く世界。 酸素不足を解消するために人間を植物に変える「転花技術」に人々は希望をたくした。 フールナイトはそんな世界に生きる青年「トーシロー」のお話です。
登場人物
神谷十四郎(トーシロー)
少年時代はミュージシャンを夢見ていた青年。
精神疾患の母親と二人暮らしをしており今日食べていくのも困っている貧困者。
何もかも嫌になり転花手術を受けることを決意する。その後、植物たちの声が聞こえるようになり転花院の職員となる。
蓬莱ヨミコ
トーシローの幼馴染。
転花手術を行う機関である転花院の職員。
トーシローが植物の声を聞けるようになったことをキッカケにある人物の捜索を依頼する。
フールナイトの見どころと感想【ネタバレあり】
絶望的な世界観・格差社会
あの黒い空が。皆の心にフタをしてる。
他人を拒絶し見えてるものを狭めてる。
出典 フールナイト1巻2話 安田佳澄 著
フールナイトの世界はこの言葉がしっくりきます。
学歴がないと家賃・光熱費・食費・酸素にまで税金がかかる世界。いきるだけでいっぱいいっぱいな日々。
その一方で学歴がある人はチケット代が10万円のピアノのリサイタルで癒され、2人前8万円の焼肉に舌鼓をうち・・・なんともやるせない気持ちになります。
生々しいまでの格差社会の描写に胸が締め付けられると同時に日本もこんな社会になってしまうのかも?と不安にかられますね。
人間を植物に変える転花技術
酸素不足を解消するために人間を植物に変える転花。転花手術を受けた人は約2年で植物になるかわりに国から1000万円の支援金が支給されます。
転花は病気や寿命で死期が近い人が受ける制度ですが、貧困が原因で受ける人も少なくないようです。
貧しくても人として生きるか、1000万円を手に入れてじわじわと植物になるか究極の2択で揺れ動く人間模様も見どころです。
「人間を植物に変えて資源として利用しようぜ!!」っていう設定が新しいですよね。また、植物が人間の魂で成長するというのもオカルトと科学・相反するものが融合された設定も面白いです。
人物の心理描写がうまい
人物の心情が非常に丁寧に描かれていますね。
まずはこの場面
出典 フールナイト1巻1話 安田佳澄 著
感情的になる場面では吹き出しが乱れに乱れています。絶望や怒りがありありと感じられるおしゃれな表現方法ですね。
次にこちらの場面
出典 フールナイト1巻4話 安田佳澄 著
間のとり方やコマの使い方がうまいですね。
人って焦ったり、予想外のことが起こると一瞬思考が止まりますよね、トーシローの「まさかな・・・」みたいな気持ちが表現されていますね。
植物と意思疎通がとれる特殊能力の設定の秀逸さ
トーシローは転花手術後に特殊能力に目覚めます。
それは霊花(転花後植物になった元人間)の声が聞こえること。
その能力を生かし霊花捜索の仕事を任されることになりますが、力を使えば使うほど霊花に近づいていく代償に悩まされます。
ジワジワと人でなくなっていく恐怖と2年という短さに焦り悩むトーシローに心が痛みます。
能力に縛りをつけて自分のあり方、心の豊かさについて考えさせる・・・深いです。
1巻は世界観と登場人物の紹介がメインです。そのほかにもトーシローの初仕事のお話も収録されています。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
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